うたたねモード

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映画『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』を観てきました

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昨日、映画『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』を観に行ってきました。

今年度のアカデミー賞を受賞(主演男優賞・メイクアップ&ヘアスタイリング賞)した作品です。

 

公式HPはこちら。

www.churchill-movie.jp

 

第二次世界大戦が勃発、ヨーロッパは次々とヒトラー率いるナチスの侵略に陥落しようとしていた。

イギリスも非常事態。戦時内閣の首相として嫌われ者のチャーチルが首相となるが、閣内には反対勢力を抱え、ヨーロッパ戦線のイギリス部隊もナチスに包囲され窮地に陥っていた。

チャーチルはその難局にどう立ち向かうのか。

 

正義とは

わたしたちはすでに、英国を含む連合国軍の勝利という大戦の結末を知っています。

その上で、英国側のひとつのエビソードとしてこの映画を観ることになりました。

 

首相となって勢いよく「勝利(Victory)」のスローガンを掲げたチャーチル。

しかし現実はナチスの猛攻にさらされ戦局は悪化、保守党穏健派はナチスとの和平交渉を進めるようチャーチルに決断を迫ります。

仏・カレーで孤立した3000人の英部隊を捨て石にし、ダンケルクで包囲されたもう一方の部隊を果たして救うことができるのか。

和平交渉でナチスに屈するのか…。

苦悩の中で街に足を運ぶと、そこには市民の姿が。

「降参するか?」とたずねると、市民は口々に「絶対ダメ!(Never!)」と答えます。

そしてチャーチルは、国会演説で徹底抗戦を訴え、ナチスに立ち向かう道を選びます。

 

ああ、やっぱり勝者はかっこいい。

これが正義だ。

勇気が出る。

 

・・・なんて、そんな簡単なことでは片づけられなくて。

 

映画を観ながらずっと、日本だってそうだったんじゃないか、イギリスと日本と、いったい何が違うというのだ、という思いがぬぐえませんでした。

捨て石にされたカレーの英部隊と、捨て石にされた特攻や沖縄は同じなのではないか。

お国のために、お上のために、トージョーだってベストを尽くし、国民も一億玉砕の覚悟で戦っていたはずではなかったか。

なのに、かたやヒーロー、かたや極悪人の扱い。この違いは一体なんなのか。

 

民主主義が正しいから勝ったのか。

自由と独立が正しいから勝ったのか。

 

いや、勝ったものが正しいのだ。

正義はいつも勝者の側にある。

 

正義にはそうした性質があるのではないか、と思ったりします。

枢軸国側は、「負けた」のです。

 

もしヒトラーが勝っていれば、もしチャーチルがいなければ、今の世界になっていたかどうか、わかりません。まさに、世界が変わっていたかもしれない。

独裁が正義となっていたかもしれない世界・・・想像するだに、そら恐ろしい思いがしますが。

チャーチルは、今につながる世界にとって、それくらいのインパクトを持った人物だったのかもしれません。

 

勝者の視点、敗者の視点、双方向から世界を眺めながら映画を観ている自分がいました。

(※なお、ナチスや旧日本軍が行った戦争犯罪や非道を擁護するものでは決してありません。基本的に平和を希求する者ですので、誤解なされませんよう)

 

人間・チャーチル

葉巻と酒を好み、動物をかわいがり、妻をこよなく愛している。

強情な保守強硬派で、激情家だが、魔術師のような言葉をもって人心を惹きつける。

強い信念を持ちながらも、ナチスの猛攻の前には恐れ揺らぐ。

ひとりの人間・チャーチル。

 

ときに可愛らしく、ときに猛々しく、ときに繊細な表情で。

特殊メイクを施したゲイリー・オールドマンの演技が、余すことなく人間チャーチルの姿を描き出します。

メーキャップ部門でアカデミー賞を獲った日本人アーティスト・辻一弘さんの技術も、ゲイリー・オールドマンを本物のチャーチルに仕上げています。

とてもゲイリー・オールドマンとは思えない。すばらしい造形でした。

 

勇気

ひとつの映画を通してですが、大戦にまつわるエピソードの数々や、人間チャーチルを知ってみると、改めて、先の大戦でドイツや日本を含む敗者側が戦った五年の間、イギリスやアメリカを含む勝者の側もまた戦っていたのだ、そこにはどちらの側にも「人間」がいたのだ、という事実に思い至ります。

 

日本に暮らしていると、冬には真珠湾攻撃、夏には沖縄戦、原爆の日、終戦記念日(というか、敗戦)のニュースが定期的に流されて、ある種の苦みを覚えながらふっと日本の過去(歴史)を振り返るくらいのものですが、世界の国々では、折々に、また別の物語が想起されていることでしょう。

 

過去を振り返るにしろ、これから未来に臨んでいくにしろ、自分が意識している以上に視野を広げ、想像力を働かせる必要があるのではないか、と思いました。

 

人間は、賢く、また愚かです。

今に至っても戦争はなくなりません。

そして、人々の日常は喜怒哀楽にあふれ、光と影に包まれています。

 

そんなわたしたちですが(だからこそ)、「成功も失敗も終わりではない。肝心なのは続けることだ」というチャーチルの言葉に、諦めず、今を生き続けてみよう、と勇気をもらうのです。

 

追記

昨年秋(2017年9月)には、クリストファー・ノーラン監督の『ダンケルク』で、チャーチルが英軍救出のため民間船団を送ったダンケルクでの戦いが描かれているようですね。

(エグい戦争映画は苦手…)と思ってスルーしてしまいましたが、今思えばそちらも観ておけばよかったかもしれません。ノーラン監督の『インセプション』とか好きですし。

それから、今夏には『チャーチル ノルマンディーの決断』が公開予定とのこと。

今度はノルマンディー上陸作戦が描かれるようです。

時代はチャーチル、ですね。

 

『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』

原題:DARKEST HOUR

制作:2017年/イギリス

監督:ジョー・ライト

主演:ゲイリー・オールドマン

おすすめ:★★★★